コラム

アパートやマンションのオーナーの悩みはいろいろありますが、その一つが「入居者が退去後に残した不用品」、すなわち「残置物」です。
残置物がちょっとしたゴミ程度なら大した手間にはなりませんが、家具や家電、自転車などが置き去られていると、かなり厄介なことになります。
ちょっと納得はいかないけれど、オーナーが費用を負担して処分すれば解決する、という単純な話ではないのが、残置物の難しいところです。
というのは、退去後間もない期間であれば、残置物の所有権は以前の入居者にあるからです。
前の入居者に所有権があるということは、つまり「他人の所有物」となるわけですから、いくら置き去られているからといっても、何の承諾もなしに他者が勝手に処分をすると、所有権侵害を根拠に損害賠償請求をされるおそれもあります。

この危険を回避するには、残置物の所有者に合意を得て処分するか、または裁判所で手続きをして強制執行という形式で処分する、といった方法しかありません。
所有者の合意を得る場合、特段の手続きは必要なく、「残置物を当方で処分します」という申し出に相手が承諾すればOKです。
ただし、承諾のやり取りについては、口約束だけでなく、内容を書面に必ず残すようにしましょう。
もう一点は、処分費用の負担分を取り決めしておくことです。
特に家電や大型家具などは処分費用がかかるので、物件オーナーが無用な負担を強いられないためにも、処分前にきちんと協議し、その内容を書面に残しましょう。
裁判所に判断を委ねる場合は、「建物明け渡し訴訟」を起こすことになります。
訴訟は概ね、オーナー側の言い分が通るはずなので、競売にかけられた残置物を落札して処分することになるでしょう。
手続きの手間はかかりますが、無用なトラブルを防止するには徹底した安全措置をとる必要があります。
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